人の生体信号を情報通信技術に活用

 コンピュータのハードウェア・ソフトウェア、生産システム、通信プロトコル、ビジネスワークフローなどのシステムは人間がその動作を規定するシステムであり、アナログ回路や機械系などの物理法則に支配される物理システムに対して、人造システムと呼ばれる。一方、動的システムのうち、状態の表現が計量の入らないアルファベットなどによるものを離散事象システムという。そのようなシステムの状態は事象の生起によって遷移するので、事象駆動システムとも呼ばれる。人造システムは離散事象システムとして取扱うことができる。

このような離散事象システムを解析・評価・設計するための数学モデルの一つにペトリネットがある。ペトリネットは有向グラフを利用したモデルであり、数学的な解析ツールと視覚的なシミュレーションツールの両方を提供する。また、離散事象システムの特徴の一つである並行性を表現することに適したモデルでもある。

当研究室では、ペトリネットの解析問題と応用について研究を行っている。ペトリネットの解析問題としてはデッドロックの有無や目標状態への到達可能性などが考えられる。これらの解析問題について、ペトリネットのグラフとしての構造に基づいた解法、記述能力を増強するためにモデルの拡張を行った場合の計算可能性や計算量の問題などに取り組んでいる。ペトリネットの応用としては、並列プログラムのモデル化とデッドロック解析、生産システムやワークフローのモデル化と効率の解析などを行っている。

イメージ