未来のネットワーク技術を創る量子情報科学

臼田教授

 「未来戦略u-Japan(ユビキタスネット・ジャパン)」の切り札と目されている量子情報科学ですが、従来、量子力学と情報科学の境界分野という認識が強く、専門的な研究が不足していました。当研究室はいち早くこの分野に着目し、基礎と応用に関する研究を専門的に行なっています。
 現在の情報科学は、古典物理学(ニュートン力学・電磁気学など)をベースに成立しています。しかしテクノロジーの進化により、コンピュータ技術がミクロの世界に突入した現在では、技術が限界に達しつつあります。
 電磁波は量子的な媒体で、「波」と「粒子」の二重性を持っていますが、従来の通信技術では「波」の側面しか活用していませんでした。量子情報科学をベースにした通信システムでは、この二つの性質を共に持つ「量子」の特性を利用します。これにより、現在よりも遥かに高性能で信頼性の高いシステムの構築が期待されます。
 またインフラには、現在使用されている光ファイバーをそのまま転用できるメリットもあります。
 量子情報科学の応用面としては、量子暗号、量子通信、量子コンピュータの3方面があります。中でも量子暗号は実用段階に入りつつある技術で、量子力学の原理を使って安全性を確保し、究極的にはいかなるコンピュータでも解読不能とされています。
 当研究室では、こうした量子情報科学の技術を活用した未来のネットワークである「量子通信ネットワーク」の実現を目指し、研究を行なっています。

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