応用システム数理工学で医療の簡便化を目指す

戸田教授

 未知なるシステムの入出力信号から、そのシステムの記述(理解)を得ることを「システム同定」と呼びます。当研究室では、システム同定を現実の問題に応用する「応用システム数理工学」の研究で、科学の適用範囲を広げることを目指しています。
 人間は脳や目から微弱な神経系の電気信号を発しています。この信号を測定し、有用な情報を読み取ることでさまざまな医療診断が可能です。しかし眼球に装置を装着する従来方法は肉体的苦痛を伴い敬遠されてきました。そこで皮膚から直接、生体電気信号を読み取れる機器の開発を開始。電気信号に商用交流電源などからの電気ノイズが加わる問題を、周波数変動に同期させる手法で解決、「生体電気信号測定装置」の製品化を果たしました。
 CTスキャナのカラー化も研究しています。広く普及しているX線CT診断装置ですが、原理的に未だモノクロ画像のまま。当研究室では、波長情報を波長ごとに分析・再構成し、CT画像の本質的なカラー化・立体化を目指しています。技術が確立されれば、CT画像から直感的にガン細胞などの病変を発見することが可能となります。
 さらにその技術のコーンビームCTへの拡張に向けての取組では、被写体に円錐状のX線ビームを照射して回転撮影を行い、3次元像を生成する従来型を改良。非対称フィルタを使用することで、2回必要だった測定を1回で完了できる研究をしています。
 いずれも「どこでも」「簡便に」「正確な」医療情報が得られ、高齢化社会の医療において必要な研究といえます。

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