科目

シミュレーション数理Ⅰ

科目区分 専門教育科目(情報) 対象学年(以上) 3年
科目名称 シミュレーション数理Ⅰ 単位数 2.00単位
講義題目 シミュレーションの数理を学ぶ 曜日・時限 金曜1限
担当教員 戸田 尚宏 開講時期 2019年度後期
到達目標 物理現象、あるいは生命現象などの自然現象や、経済・社会現象などにおいて、それらの将来に渡る振舞いが予想できるならば、現時点での行動指針を決定する上で、そうした予想は極めて有用である。従来の科学の諸分野での研究はこうした動機に根ざすものと言って良い。中でも、注目している変量の増減の速度に着目した定式化は直ちに微分方程式の表現となる。微分方程式によって記述出来る対象は極めて多いが、それを用いてシステムを記述することで性質を論じ、さらにはそのシステムの将来を予測するためには様々な困難がある。一般に考察対象の未来を予測する事をシミュレーションと呼ぶ。
本講義を履修することにより、常微分方程式で表される現象の振る舞いを解析的方法による解法から、計算機による数値解法により予測する方法を修得することができ、実システムに対応できる。
授業概要 システムのモデルとして、現在用いられている表現について概観を与え、常微分方程式の分類を
まず行う。それぞれの分類に従って代表的な例を現実問題から選び解説した上で解法を与える。特に線形微分方程式に分類される例として、電気回路を取り上げる。2階の線形微分方程式の解法について詳述し、数学的な概念の確認も同時に行う。さらに、ラプラス変換による解法、伝達関数とシステム記述について説明し、解析的な方法限界を明示する。さらに非線形常微分方程式で表される現象について紹介し、その解法としての数値解法に関し、オイラー法からルンゲクッタ法、適応刻み法、多段階法、予測子修正子法などについて解説する。
授業計画 第1回 シミュレーションとは:・コンピュータによるシステムの記述
第2回 システムモデルの分類:・数理モデル ・物理モデル ・シミュレーション法
第3回 常微分方程式概要:・微分方程式の定義 ・微分方程式分類 
第4回 変数分離型微分方程式:・落下運動 ・放射性同位元素 ・人口増加 ・感覚器
第5回 線形微分方程式: ・電気回路 1次遅れ系
第6回 線形微分方程式: ・電気回路 2次遅れ系
第7回 線形微分方程式の解法:  ・解の存在 ・特性方程式による求解
第8回 線形システムの表現(1): ・ラプラス変換 ・ラプラス変換の性質
第9回 線形システムの表現(2): ・ラプラス変換による微分方程式の解法 ・伝達関数 
第10回 線形システムの表現(3): 伝達関数と畳み込み ・システムの接続
第11回 常微分法手式の数値解法(1): ・オイラー法 ・オイラー法の精度
第12回 常微分方程式の数値解法(2): ・2次ルンゲクッタ法 ・計算量と数値解の精度
第13回 常微分方程式の数値解法(3): ・適応刻み幅 ・多段階法 ・予測子修正子法
第14回 非線形常微分方程式で表される現象: ・周期解、準周期解 ・カオス現象 ・シミュレーション実験説明 ・定期試験説明
第15回 総合演習:  ・線形、非線形システムモデルによるシミュレーション実験

定期試験

授業外学習 予習:次回の講義資料該当箇所を読み、疑問点を整理しておく。
復習:出された課題を解きレポートにまとめる。課題の無い場合は、講義資料の理論導出を自分で行う。
履修上の注意 関連科目: 回路基礎論、ディジタル信号処理、シミュレーション数理II、システム同定論、音声音響情報処理論
受講要件: 必須ではないが、回路基礎論を履修していることが望ましい。予習:配布資料を読ん
     で来る事。復習:演習課題が出された場合、レポートを作成し次週以降に提出すること。
成績評価の方法 試験(90%以下)、 講義中の演習(5%以下)、最終演習レポート(5%以下)、講義に対する積極性、学習態度を総合して評価する。
教科書 配布する講義資料
参考書 青木利夫、池田益夫著「応用解析要論」倍風館、笠原皓司「新微分方程式対話」日本評論社、
デヴィッドバージェス、モラグボリー「微分方程式でモデルを作ろう」日本評論社 など