科目

グローバル学術交流

科目区分 教養教育科目(教養) 対象学年(以上) 1年
科目名称 グローバル学術交流 単位数 2.00単位
講義題目 グローバル・ヒストリ―と〈わたし〉―グローバル化する世界のなかで 曜日・時限 金曜4限
担当教員 亀井 伸孝、若松 伸哉 開講時期 2019年度後期
到達目標 グローバル化と言われる近年の世界動向のなかで、私たちは自らの存在をどこに位置付ければ良いのだろうか。近代社会まで個人を取り囲んでいた地域社会や国家という枠組は、グローバル化のなかで急速にその姿を変えつつあるように見える。こうした観点から今年度の本講義では、特に歴史学分野で脱国民国家的な世界把握として大きな潮流となっている〈グローバル・ヒストリー〉を軸として、グローバル化という動向のなかでの主体のあり方について学ぶ。県大5学部の専門性と学際性を縦横に掛け合わせることで、深い専門性に裏づけられた世界大の問題意識と行動力を到達目標とする、一つのグローバル化の試みである。
授業概要 グローバル化と呼ばれる現在の世界のなかで自分自身がどのような位置にいるのかを認識し、またその世界に関わっていくための自らの問題意識を見つけていくことが講義の基軸にある。そのために手がかりとして県大5学部の専門性と学際性によって「グローバル化する県大」の観点から、世界と私たちの関わりについて議論を展開する構成を採る。このようにして提示される課題は、国内‐国外‐地球規模、あるいは先史時代 – 現在までと時空間を異にしつつも、有機的に結び合って、一つの人類社会の課題を構成している。
1.本科目における学内教員が担当する授業は、カリキュラムの都合上、例外を含みつつも、基本的には以下のように進められる。
(1)初回の授業で、受講生は可能な限り学年の違いを反映させた4~5人のグループに分かれ、以後はこれの単位で、討論やプレゼンなどの成果発表をおこなう。
(2)授業計画に示されている講義は、具体的には、各回の講義が60分、残りの30分は受講生間および受講生と教員の間での討論に充てられる。
2.上記1.と併せて、本科目では外部からの講師を招いた3回の特別授業がおこなわれる。特別授業では事前の準備を経た受講者グループの問題提起および受講後の成果発信をおこなう。
授業計画 1. 履修ガイダンスと外部講師による講演や授業に関する説明  (以下、カッコ内は担当予定者名)
2. アジア・太平洋戦争と世界-国家の枠組みと責任を考える(教育福祉学部・久保田貢)
3. 学術講演会に向けた事前学習
4. 【国外招へい講師による特別授業】グローバル・ヒストリー(1):スヴェン・ベッカート(ハーヴァード大学教授、ピュリッツァー賞ファイナリスト)「Empire of Cotton: The Global Origins of Capitalism」予定
5. 学術講演会をうけての討議
6. 人類の進化と出アフリカ: グローバル・ヒストリーの原点としてのホモ・サピエンス史(外国語学部・亀井伸孝)
7. ゲスト授業に向けた事前学習
8. 【国内招へい講師による特別授業】グローバル・ヒストリー(2): 遠藤泰生(東京大学大学院総合文化研究科・グローバル地域研究機構教授)予定
9. 19世紀初頭におけるアメリカ産業革命とグローバル・ヒストリー(外国語学部・久田由佳子)
10. 立身出世と帝国主義―夏目漱石が描く近代日本の青年と世界(日本文化学部・若松伸哉)
11. 特別授業に向けた事前学習
12. 【国内招へい講師による特別授業】グローバル・ヒストリー(3):岡本充弘(東洋大学名誉教授・東洋大学人間科学総合研究所客員研究員)予定
13. 情報とコンピュータのあゆみ ― 世界と日本 ―(情報科学部・辻孝吉)
14. いわゆるゴミ屋敷対策から見えるグローバルな課題:多様な対象と関わるマインドセット(看護学部・下園美保子)
15. まとめと総合討論(学生による発表、学内講師も参加)
授業外学習 本シラバスおよび履修開始前に配布予定の文献一覧を参照して、自分なりの問題意識をもっておくことが望ましい。それをもとに、授業時の討論や外部講師による企画で予定されている受講者グループのプレゼン発表に、積極的に取組んで欲しい。
履修上の注意 *海外ゲストと国内ゲストの特別授業については現在日程調整中のため、授業順などあくまで仮のものとして書き込んである。それぞれ「グローバル・ヒストリー」に関連した内容を話してもらう予定だが、具体的な日程が決定したらシラバスに表記するので更新情報に注意すること。講演日程は後期授業期間中の水曜日を予定しているが、講師の都合により土曜日の設定もあり得る。また、講師の都合により変更が生じる場合もあるので、注意すること。

1.受講に際しては、それぞれの問題関心から発して、本科目全体の課題をつかむことを常に意識すること。
2.この科目は異なるテーマで毎年開講予定であることから、自らが生きる社会や世界の複雑な問題の諸相を考え深める機会として、その後の受講可能性も視野に入れて欲しい。

成績評価の方法 各回の授業に関する質問や感想等のショート・レポート20%、学期期末レポート50%、プレゼン30%で、総合的に評価する。
教科書 適宜、資料等を配布する。
参考書 さしあたり各教員が担当するテーマについては、以下を参照。詳細な文献一覧は、後期開始前に受講登録者に配布予定。

2.アジア・太平洋戦争とは何だったのか-国家の枠組みと責任を考える(教育福祉学部・久保田貢)
・久保田貢『知っていますか?日本の戦争』新日本出版社、2015
 (テキストではありませんので持参する必要はありません)

10.立身出世と帝国主義―夏目漱石が描く近代日本の青年と世界(日本文化学部・若松伸哉)
・夏目漱石『門』(新潮文庫、1948)
・夏目漱石『彼岸過迄』(新潮文庫、1952)
・小森陽一『ポストコロニアル』(岩波書店、2001)

14.いわゆるゴミ屋敷対応からみる対象理解のマインドセット(看護学部・下園美保子)
・岸恵美子編集代表『セルフ・ネグレクトの人への支援』(中央出版、2015)