科目

生命の科学

科目区分 教養教育科目(教養) 対象学年(以上) 1年
科目名称 生命の科学 単位数 2.00単位
講義題目 生命機構の探求と健康への応用 曜日・時限 金曜3限
担当教員 岡田 悦政 開講時期 2019年度前期
到達目標 大学における教養教育の目的は大学生活、社会生活に役立つ幅広い教養的視野の養成にあると考えるが、本講義では特に日本全体、世界全体を見渡せる真の教養教育を行いたい。特に生命科学の世界は日進月歩での進展を見せており、単なる知識の習得は、数年後には陳腐な、また間違った知識となる状況下にある。このような状況下で、生命科学の知識をどのように利用し、また生かしながら、人類のためにどのようにするのかを考えられる人となってもらうことを目的として講義する。
  さらに、大学教育は学生自身の好奇心においてなされるものであると考える。故に、本講義において学生自身の積極的な発言を期待する。
 また、本講義の具体的目標は、
1.生命科学分野に関する情報を収集し、考える力を養う。
2.生命科学分野に関する情報を収集後、判断する能力を養う。
3.生命科学分野に関する問題点を質問し、また、回答する能力を養う。
 ことである。
授業概要 ここでは、「生命とは何か」について講義する。特に生命活動は、化学反応により成し遂げられていることを詳説する。また、教養教育科目であるため、今後大学生活、更に、社会生活を営んでいく上で必要な内容について講義する。
 具体的には「がん」「遺伝子組換え技術」「遺伝子を調べる」「クローン」「再生医療」「免疫」「アレルギー」等、実生活で役立つ医学的な基礎知識について解説する。また、本年も栄養学領域の専門家をゲストスピーカーとして迎え、遺伝子発現と栄養成分の関連について講義を行ってもらう予定であり、このことにより、更にこの分野の興味関心が高まることを期待する。
授業計画 1. がんという病気を「細胞」で理解しよう
 1 日本人の死因の第1位は「がん」
 2 細胞とは何か
 3 多細胞生物の中の細胞たち
2. がんという病気を「遺伝子」で理解しよう
 1 ウナギがウナギであるために必要なもの
 2 DNAと遺伝子
 3 遺伝子発現のしくみ
 4 突然変異とがん遺伝子・がん抑制遺伝子
3. 「がん」という病気をより広い視点で理解しよう(討論)
 1 がんの原因は様々である
 2 染色体とがん
 3 DNA複製と突然変異のしくみ
 4 複雑な発がんメカニズム
4. 「遺伝」に関する正しい知識を身につけよう
 1 遺伝するのは病気ではない
 2 遺伝のメカニズム
 3 遺伝病とは何か
 4 肥満と遺伝
5. 「遺伝子組換え技術」を理解しよう
 1 遺伝子を組み換える
 2 遺伝子組換えの三つの道具
 3 遺伝子組換え技術はどう活用されているか
 4 遺伝子組換えの安全性と問題点
 5 「食事由来成分と遺伝子発現」について、ゲストスピーカーを招き講義予定
6. 「ゲノム」を理解しよう(討論)
 1 木を見て、さらに森も見る
 2 ゲノムとは何か
 3 ゲノムと染色体
 4 ヒトゲノムプロジェクトとその成果
7. 「遺伝子を調べる」ことについて知ろう
 1 遺伝子を検査するとは?
 2 ゲノム情報を調べるための技術
 3 ゲノム情報の利用
 4 医療への応用
8. 「生殖・ゲノムインプリンティング」を理解しよう
 1 配偶子形成に込められたオスとメスの生殖戦略
 2 減数分裂と染色体の異常
 3 X染色体の不活性化と遺伝子の発現量の調節メカニズム
 4 遺伝子技術でオスは不要になるか
9. 哺乳動物の初期発生と「クローン」を理解しよう(討論)
 1 不妊治療と再生医療
 2 受精と発生のメカニズム
 3 多機能性幹細胞とES細胞
10. 動物の「ボディ−プラン」を理解しよう
 1 再生医療への道のり
 2 皮膚の再生医療と動物組織の基本
 3 立体的な器官を再生するために
 4 「立体的な」臓器再生に向けて
11. 健康を守る「免疫」を理解しよう
 1 ウイルスとの戦い
 2 免疫のしくみ
 3 自己と非自己
12. 免疫が「できる」メカニズムを知ろう
 1 予防接種とは
 2 獲得免疫とB細胞、T細胞
 3 免疫細胞の連携
 4 免疫記憶
 5 移植と免疫
13. 花粉症のもとになる「アレルギー」を理解しよう
 1 アレルギー研究の歴史
 2 I型アレルギー
14. 花粉症のもとになる「アレルギー」を理解しよう(討論)
 3 II型アレルギー
 4 そのほかのアレルギー
15. まとめ
授業外学習 生命科学に関連するニュース等による情報収集に努めること。
履修上の注意 1.本講義は、質疑応答、討論形式を基本とするため、講義への積極的な参加を希望する。それ故、講義に積極的でない学生は歓迎しない。
2. 討論形式での講義を基本としているが、生命科学分野に興味関心のある学生であれば、生物学、化学に自信がない学生の受講も大いに歓迎する。但し、受講人数が大幅に多い場合には、討論課題等についての論述試験も実施する可能性がある。
3. 講義の基本は、教科書を中心に行うため、教科書を持参すること。尚、プレゼン希望者は、教科書中心に関連分野のプレゼンを実施することも可能とする。
成績評価の方法 質疑応答(40点)、討論あるいはプレゼン(60点)により総合的に評価する。しかしながら、受講者が多い場合には、これに加え論述試験を課すことがある。
教科書 Primary 大学テキスト これだけはおさえたい生命科学 身近な話題から学ぶ  著:武村政春、奥田宏志、小野裕剛、高野雅子 実教出版
参考書 生命・食・環境のサイエンス 江坂 宗春 (監修) 共立出版