科目

多文化社会とコミュニケーション

科目区分 教養教育科目(教養) 対象学年(以上) 1年
科目名称 多文化社会とコミュニケーション 単位数 2.00単位
講義題目 外国人住民受入れに伴う医療・教育・介護・防災、ビジネス面の課題と対応 曜日・時限 月曜4限
担当教員 小池 康弘 開講時期 2019年度後期
到達目標 グローバル化の進展とともに、私たちが日常的に「多言語、多文化、多様性」に遭遇する場面が増えている。国籍や宗教、文化的背景が異なる人々と一緒に仕事をするケースは今後ますます増えていくであろう(すでにコンビニの店員の多くが外国人である)。
この授業では、①異文化間に生じうるミスコミュニケーションの事例を知り、②地域社会レベルでの現状、課題、施策について学び、③外国人住民にとって重要な問題である医療、介護、行政、教育や、災害時の対応(防災を含む)における「コミュニティ通訳」の役割を理解し、④日常生活の中で、あるいは将来自分が就くであろう仕事の中で将来それをどう生かすか仮想マニュアルを考えてみる(たとえば、医療従事者は外国人患者に接するときに何に注意し、通訳をどう使うのが効果的か、など)。
最終的には、多文化共生社会にむけ日本社会が取り組むべき課題について、教授者の講義をヒントにして受講者自身が実現可能性のある解決策を提案することを目指す。
各自の所属(たとえば看護、教育、福祉、外国語、日本文化、情報)の中に、「多様性」「多文化」「多言語」という視点を取り入れることを意識して受講してほしい。
授業概要 愛知県には多くの外国人住民が生活しており(20万人以上)、その数は東京都に次いで多い。出身もブラジル、中国、 韓国、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ペルーなどなど多様である。
日本における急速な少子高齢化の進展に伴い人手不足が深刻化する中、日本政府は2019年、外国人材の受入れを拡大していく方針を明らかにした。そこで問題となるのは、日本語が十分に理解できない外国人住民に医療、教育、介護、行政などのサービスを提供する場合に、言葉のみならず、異なる文化、価値観、行動様式などを理解していないと不必要な誤解が生じてしまうことである。個人的な経験によって、日本人が狭量な排外主義に陥ってしまうことは、結果的に日本の国際的評価を落とし、人手不足が益々加速して日本社会の衰退をもたらしかねず、双方にとって不幸な結果となる。
この授業では、主担当者である小池のほか、医療通訳をはじめとするコミュニティ通訳者や「多文化防災」に取り組む専門家なども招いて授業が進められる。主な視点は以下の通りである。
①グローバル化は地域社会に、あるいはビジネスの世界にどんな影響をあたえるか。
②外国人が日本で生活する場合、逆に日本人が外国で生活する場合に、どのようなカルチャーショック、コミュニケーション・ギャップがありうるか。
③ひとつの社会の中に様々な言語、民族が存在するような場合、どのようなコミュニケーション支援が必要か。たとえば医療、教育、福祉、防災など。
④地域レベルで、あるいは職場レベルで実施可能な施策として何ができるか。あるいはすでにどのような取り組みが行なわれているか(外国の事例紹介も含む)
授業では講義だけでなく、グループに分かれてディスカッションを行い、全員で共有して最終的には「提案」を行ってもらう。
授業計画 主担当教員のほか、テーマごとに外部講師も招いて授業を進める予定である。以下に示した授業計画は一部変更される可能性もあるので、初回の授業で確認してほしい。
①導入:授業の目的、概要、進め方などの説明
②グローバル化の進展とそれにともなう諸問題にはどんなことがあるか。
③多文化社会の中での仕事とミスコミュニケーション(講義とグループディスカッション)
④地域で暮らす外国人とのコミュニケーション:医療通訳(その1)
⑤地域で暮らす外国人とのコミュニケーション:医療通訳(その2)
⑥グループディスカッションと共有
⑦外国人住民と教育・福祉問題(その1)
⑧外国人住民と教育・福祉問題(その2)
⑨外国人住民と教育・福祉問題(その3)
⑩グループディスカッションと共有
⑪外国人住民を意識した「多文化防災」(その1)
⑫外国人住民を意識した「多文化防災」(その2)
⑬グループディスカッションと共有
⑭ここまでのまとめと課題指示(提案作成)
⑮まとめ
授業外学習 グループ・ディスカッションではテーマが与えられるので、受講者は授業で学んだことを踏まえて、さらに必要な情報を収集し、自分の意見を自宅で整理してくること。単なる思い付きではなく、事実やデータをよく調べて、根拠を示して発表できるように準備する。
履修上の注意 ディスカッションに積極的に参加し、自らコミュニケーション能力を高めようとする姿勢が不可欠。
成績評価の方法 ほぼ3週に1度の割合で、A4用紙1枚(700~1000字)のショートレポートを提出してもらう。(合計5回。1回20点満点で評価×5回)
教科書 初回授業で指示する。
参考書 G.ホフステード著、岩井紀子、岩井八郎訳 『多文化世界』 有斐閣
水野真木子、内藤稔 『コミュニティ通訳 多文化共生社会のコミュニケーション』 新装版 みすず書房
村松紀子、阿部裕、連利博 『実践医療通訳』 松柏社
エリン・メイヤー、田岡恵監訳、樋口武志訳 『異文化理解力』 英治出版
その他、自治体の多文化共生に関する施策資料や報告書、新聞記事などを読む場合がある。