形式的には、ペトリネットは
で表される。
トランジション に向かうアークを の入力アーク、 の入力アークが出て行くもとのプレースを の入力プレースという。 から出て行くアークを出力アーク、 の出力アークが入って行く先のプレースを の出力プレースという。 プレース の入出力アーク、入出力トランジションもまた同様に定義する。
`=Y10'、`=Y100'、`button' とラベルづけされたトランジションが それぞれ、10円硬貨を投入する、100円硬貨を投入する、ボタンを押す動作を表す。 、 はそれぞれ、投入された10円硬貨、100円硬貨をトークンとしてもつ。 、、 はそれぞれ、10円が11枚、10円が1枚と100円が1枚、100円が2枚 投入されると発火可能となる。 は十分な金額が投入されていて、 ボタンを押せばジュースが出てくることを表している。 このときボタンが押されると、 にトークンが投入され、 投入金額が110円か200円かによって、 または が発火する。 が発火すればジュースのみが、 が発火すればジュースと釣り銭90円が、 `juice'、`=Y10'のプレースに投入される。
ここで、機械Aと機械Bが離れた場所にあって、 搬送車で運ばなければならないものとする。 搬送車のモデルを(b)に示す。 、 はそれぞれ、 製品 の搬送開始、終了を表す。 、 はそれぞれ、搬送車が機械A、Bの場所にあることを表す。 は搬送車が機械Bの場所からAの場所へ移動することを表す。
2つのプレース 、 を搬送車のモデル(b)で置き換えることによって、 機械間の搬送を考慮したモデル(c)を得る。 このように、あるペトリネットモデルの1つあるいは複数のプレースやトランジションを 別のネットで置き換えることによって、より詳細なモデルを作ることができる。 逆に、あるペトリネットの一部をより簡単なネットで置き換えることで、 より抽象化されたモデルを得ることができる。
プリンタはSTROBE信号の立ち下がりでデータを取り込み、BUSY信号を真(1)にする。 そして、印字処理を行い、その終了後、BUSY信号を偽にする。
(a)と(b)のネットに共通のプレース 、DATA と トランジション STROBE を それぞれ重ね合わせることによって、 コンピュータで制御されたプリンタのモデルを得る。 このように、複数のペトリネットのプレースやトランジションを重ね合わせて、 結合システムのモデルを作ることができる。