人の生体信号を情報通信技術に活用

代田教授

 私の研究室では、工学分野においてよく現れる「逆問題」に対する再構成手法の研究を行っています。その中でも,観測データから対象内部の欠陥部分・度合いを見つけるのに対応する「係数同定逆問題」の数値的再構成手法について、その基礎と応用研究を専門的に行っています。  

逆問題とは、簡単にいえば結果から原因を推定する問題です。 例えば、検査対象の物体内部に超音波ビームを発射し、それにより対象表面で観測される波から、内部の欠陥を推定する「超音波探傷」は、結果(観測される波)から原因(内部の欠陥)を推定する逆問題です。

逆問題は、理論的にも工学的にも解きにくい問題として知られています。与えられたデータから具体的な解を得ることが難しいということもありますが、この点はコンピュータ・再構成手法の発達により解消してきています。しかし逆問題は、カオス現象のようにデータのほんの少しの違いが解に大きな影響を与えてしまうという非適切性があり、この性質が精度の良い解を得ることに対する大きな妨げとなっています。

逆問題の研究では、理論研究(数学)と実用研究(実験研究、再構成手法)がありますが、私の研究室では微分方程式における係数同定逆問題に対する再構成手法の研究・開発を、非線形最適化法および正則化法を基礎として行っています。さらにここ数年は、減らせる違いを極力減らすことにより高精度な解を得ることを目指て、多倍長計算環境下における高精度数値解法を用いた逆問題解析の基礎研究も進めています。

イメージ