人の生体信号を情報通信技術に活用

当研究室では、日常生活の中の音・音声全般に関連する様々な情報処理技術について研究しています。

まず、音声に含まれる感性情報をスペクトルや韻律などから抽出し、必要なときに通常音声に喜怒哀楽などの感情を付加することができる音声の加工・合成処理があげられます。字幕に感性情報の付与や音楽が引き起こす情動などの研究にも応用できます。交差点に用いられる音響信号の音も人に与える影響がさまざまで、その音響信号は通行の可能性を知らせるのみならず、スペクトルや時間情報からの感性も信号音の聞き取りに役立てています。更に車に用いられるクラクションはその音の構成成分によって人に与える険悪情報や有用な情報など実に多いことが分かっています。より良いクラクションの音設計も信号音と同様に人間工学の一研究分野となっています。

一方、グローバリゼーションの進みによって国際間の交流が活発になって、外国語を利用する機会が大幅に増えています。本研究室は発声に重要で通常見えない発声器官である舌の運動様子を超音波で測定し、教師と学生の舌運動を観察して学習効果を高めることを試みています。英語・日本語・中国語など多言語にわたって研究を進んでいます。

その他に地元の言語としての名古屋弁は全国の方言と同様に消失しつつある現在、方言を収録・録音し、分析して特徴を抽出・認識・合成することは、方言という文化遺産の継承に役立ちます。本研究室はこれまでに学内外との共同研究などを通して数十人の名古屋弁音声資料を得て、主に変母音の周波数特性やアクセント、時間構造などを解析し、音声情報処理技術を利用して方言の分析・認識・合成・翻訳などを行っています。 このように音声・音に纏わる様々応用分野において現実の暮らしに役立つよう研究を進めています。

イメージ

調音波装置で測定した母音発声/e/(左)と/o/(右)の舌様子