名古屋組合せ論セミナー

 

本セミナーは, 組合せ数学・離散数学の分野間, さらにはそれら分野と周辺領域との幅広い研究交流を目的として開催しています. 興味のある方はどなたでもご参加下さい.

[第45回]

日時: 2025年5月23日(金) 17:00〜18:30 (予定)

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階, アクセス1 アクセス2 ) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 西村 優作(早稲田大学)

 

講演題目: Kneser彩色関数とツリーの完全不変量 

 

講演概要: Stanley氏は彩色対称関数と呼ばれるグラフの不変量を考案し、これがツリーの完全不変量であると予想した。この予想は現在まで未解決である。一方、三枝崎氏らは彩色対称関数を一般化したKneser彩色関数を定義した。Kneser彩色関数は自然数kによるパラメータを持っており、特にk=1の場合、これは彩色対称関数と一致する。そこで、そもそもKneser彩色関数がツリーの完全不変量となるパラメーターkが存在するのか、という問題が考えられる。本講演では、k=2の場合、Kneser彩色関数がツリーの完全不変量となることを紹介する。本講演の前半では、Kneser彩色関数に関する結果(Miezaki-Munemasa-Nishimura-Sakuma-Tsujie)を紹介し、後半ではk=2のKneser彩色関数がツリーの完全不変量になることを証明する。

 


[第44回]

日時: 2025年3月25日(火) 17:00〜18:30

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階, アクセス1 アクセス2 ) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 松村 英樹(東京都立大学)

 

講演題目: デザイン理論とDiophantus問題

 

講演概要: 本講演ではまず、楕円デザインと2, 3次元のProuhet—Tarry—Escott(PTE)問題というDiophantus問題を関連付けた結果について紹介する。楕円デザインとは、ある次数までの多項式の重み付き積分を有限個の点での関数値の(重み付き)和として与える楕円上の有限集合であり、球面デザインの一般化である。これらの結果は澤正憲氏との共同研究に基づく。
次に、Bessel多項式やChebyshev多項式という直交多項式の重み関数に関する矩形求積公式の場合に、Waringの問題におけるHausdorffの構成法を通したNarayana数(Catalan数の一般化)との関連付けが得られたので紹介する。矩形求積公式とは、与えられた道上での定積分を与えられた点での関数値の重み付きの有限和で表す公式である。また、Bessel多項式の重み関数に関する矩形求積公式からPTE問題の解の系列を構成できたので紹介する。これらの結果は神戸大学の澤正憲氏、Accentureの三島輝之氏との共同研究に基づく。

 


[第43回]

日時: 2025年1月17日(金) 17:00〜18:30

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階, アクセス1 アクセス2 ) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 三澤 竜太郎(東北大学)

 

講演題目: 球面 T-デザインについて

 

講演概要: 球面デザインは,球面上の「良い」有限部分集合としてDelsarteらによって導入された. これは球面上でのある次数までの多項式に対する積分値を,その有限個の点での平均として表すことができる,という性質をもった集合のことを指す. 特に,次数tまでの多項式に対して成り立つ場合,この有限集合を球面 t-デザインと呼ぶ. 球面 t-デザインは多くの問題意識から,存在問題、非存在問題、構成問題を中心に盛んに研究されてきている. そして近年, Bannaiらによってその一般化である,球面 T-デザインが導入された. 球面 T-デザインの研究はおもにTの偶数成分に主眼がむけられてきた. 本講演では, Tの偶数成分の研究と,Tの奇数成分の研究として,Misawa-Munemasa-Sawaの結果を紹介する.

 


[第42回]

日時: 2024年11月22日(金) 17:00〜18:30

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階, アクセス1 アクセス2 ) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 安福 智明(岐阜大学)

 

講演題目: ヤング図形を用いた組合せゲーム

 

講演概要: 組合せゲームとは,偶然の要素や伏せられた情報の無いゲームである.そのゲームを数理的に解析することを目的とした分野を組合せゲーム理論といい,近年活発に研究されている. 組合せゲームのうち,ヤング図形を用いたゲームは,近年そのゲームと対称群の表現論との繋がりが判明したことから,重要なゲームであると位置づけられている. 本講演では,ヤング図形を用いた組合せゲームやそれらの仲間について紹介し,時間に余裕があれば組合せゲーム理論の最新の理論を用いた解析結果について触れる.

 


[第41回]

日時: 2024年10月7日(月) 17:00〜18:30

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階, アクセス1 アクセス2 ) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 久保田 匠(愛知教育大学)

 

講演題目: Grover walk の周期性とスペクトルグラフ理論

 

講演概要: 量子ウォークはランダムウォークの量子版として導入された数理モデルである。元々は確率過程に量子的な要素を加えた問題と捉えられていたが、現在ではグラフ理論、関数解析学、量子情報理論など幅広い分野と密接に関連して研究されている。近年注目を集めている量子コンピュータとも深い関わりがあり、量子探索、量子暗号、量子鍵配送といったトピックにも量子ウォークが登場することがある。本講演では、まず量子について物理的な背景を簡単に説明したうえで1次元量子ウォークを導入する。次に、グラフ上の量子ウォークでは定番の Grover walk と、その周期性に関する基本的な結果を紹介する。周期性は、時間発展行列の固有値のみで議論を進められるため初学者にも理解しやすいテーマである。最後にスペクトルグラフ理論や代数的組合せ論に関連する研究結果や未解決問題を紹介する。

 


過去のセミナー

第1回〜第10回
第11回〜第20回
第21回〜第30回
第31回〜第40回

 


世話人

久保田 匠 (愛知教育大学)
篠原 雅史 (滋賀大学)
中島 規博 (名古屋工業大学)
野崎 寛 (愛知教育大学)
平尾 将剛 (愛知県立大学)
盧 暁南 (岐阜大学)
渡邊 悠太 (愛知教育大学)

 

澤 正憲 (神戸大学)
神保 雅一 (統計数理研究所)
須田 庄 (防衛大学校)
田坂 浩二(近畿大学)

 

 

連絡先

hirao(AT)ist.aichi-pu.ac.jp (平尾)

 


最終更新日:2025年4月24日