名古屋組合せ論セミナー

 

本セミナーは, 組合せ数学・離散数学の分野間, さらにはそれら分野と周辺領域との幅広い研究交流を目的として開催しています. 興味のある方はどなたでもご参加下さい.

[第39回]

日時: 2024年5月20日(月) 17:15--18:45 (開始時刻にご注意下さい!)

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階, アクセス1 アクセス2 ) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 今村 浩二(熊本大学)

 

講演題目: 符号理論における臨界問題について

 

講演概要: 有限体上のベクトル空間において,ある部分集合が与えられたとき,その部分集合と交わらない部分空間はどれだけ大きく取れるだろうか.この問題は1970年にH. CrapoとG.-C. Rotaによって「臨界問題」として定式化された.臨界問題は,符号理論における被覆問題や,グラフ理論における彩色問題など,極値的組合せ論における重要な問題を特別な場合として含んでいる.本講演では,符号理論の観点から,有限環上の線形符号と,Delsarte階数距離符号に対して,臨界問題の拡張を与える.本講演は城本啓介氏(熊本大学)との共同研究に基づく。

 


[第38回]

日時: 2024年2月28日(水) 17:30--19:00

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階, アクセス1 アクセス2 ) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: Frederick Kin Hing Phoa (Academia Sinica)

 

講演題目: A systematic design construction and analysis for cost-efficient order-of-addition experiment

 

講演概要: (PDF Version)
In this work, we propose a systematic design construction method for cost-efficient order-of-addition (OofA) experiments, and its corresponding statistical models for analyzing experimental results. In specific, our designs take the effects of two successive treatments into consideration. Each pair of level settings from two different factors in our design matrix appears exactly once to achieve cost-efficiency. Compared to designs in recent studies of OofA experiments, our design is capable of conducting experiments of one or more factors, so practitioners can insert a placebo, or choose different doses as level settings when our design is used as their experimental plans. We show an experimental analysis based on our design results in better performance than those based on the minimal-point design and Bayesian D-optimal design with the pairwise-order modeling in terms of identifying the optimal order.

 


[第37回]

日時: 2024年2月19日(月) 16:30--18:00

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 奈良知恵 (明治大学)

 

講演題目: 正24胞体とオクタバグ ―連続的平坦折りたたみの問題に関連してー

 

講演概要: リサイクルのために空になった容器を平坦に折りたたみたいがどのようにすれば良いだろうか。このような問いは2001年に提案された「多面体の連続的平坦折りたたみの問題」(E. Demaine, M. Demaine, A. Lubiw) に深く関係する。すなわち,多面体の表面を切ったり伸縮させたりせずに平坦化できるか? ただし,表面は紙のように折り目で折り曲げられるものとし厚みは無視できるものとする。本講演では4次元の正多胞体について,2次元の面から構成される2次元スケルトンの連続的平坦化の問題を取り上げる。正24胞体は表面が24個の正八面体から成り立ち自己双対である。その正三角形面全体からなる2次元スケルトンを連続的に平坦化するにはオクタバグ(ジターバグ)の動きを利用するとよい。ポイントとなるアイデアの紹介と共に,未解決である正120胞体や正600胞体について解法への糸口を参加者とともに探りたい。

 


[第36回]

日時: 2024年1月20日(土) 17:00--18:30

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 大野泰生 (東北大学)

 

講演題目: Schur多重ゼータ値の双対関係式

 

講演概要: リーマンゼータ関数の多変数化である多重ゼータ関数について、その収束域における特殊値を多重ゼータ値と呼ぶ。 多重ゼータ値の研究において積分表示の変数変換から得られる双対関係式は、インデックスの双対で書ける基本的かつ 重要な性質である。一方等号付き多重ゼータ値については、双対関係式の同様の記述は困難であった。 多重ゼータ値と等号付き多重ゼータ値の組合せ論的一般化として、M. Nakasuji, O. Phuksuwan, and Y. Yamasaki によってSchur多重ゼータ値が導入され、これにより、等号付き多重ゼータ値を含むribbon型Schur多重ゼータ値の双対関係式が記述された。 本講演では、一般のshapeのSchur多重ゼータ値に対し、双対関係式とその拡張を与える。本講演の大部分は、中筋麻貴氏(上智大学・東北大学)との研究成果に基づく。

 


[第35回]

日時: 2023年12月22日(金) 16:30--18:00

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 中田彬文(広島大学)

 

講演題目: Delsarte theory for probability measures on homogeneous spaces corresponding to compact Gelfand pairs

 

講演概要: ある状況における最適な対象を見つけることを目標とする,組合せ最適化と呼ばれる分野がある.その中でも符号とデザインは重要かつ盛んに研究されている対象である.符号理論の目標は効率的かつ信頼性の高い情報通信を行うことであり,デザイン理論の目標は効率的かつ誤差の小さい標本調査を行うことである.Delsarte理論はこれら2つの理論を,Fourier解析を通して双対概念として結びつけるものである.従来の有限部分集合によるDelsarte理論は,Delsarte’s boundと呼ばれる,符号やデザインの研究における基礎的な道具を提供し,接吻数問題や球充填問題の部分的解決にも貢献している.本講演では,確率測度によるDelsarte理論の定式化を行う.本講演は奥田隆幸氏(広島大学)との共同研究に基づく.

 


[第34回]

日時: 2023年11月14日(火) 16:30--18:00

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 篠田正人(奈良女子大学)

 

講演題目: ニムとその周辺の話題、および削除ニムについて

 

講演概要: よく知られた石取りゲーム「ニム」にはいくつもの変形版のルールが提案され、勝敗判定条件やSprague-Grundy数が調べられている。 本講演では前半にこれらの変形版ルールのいくつかを紹介し、後半には「削除ニム」と呼ぶ「手番のプレイヤーが石の山の削除と分割の両方を行う」ゲームについて 講演者と安福智明氏、坂井公氏、末續鴻輝氏との共同研究の結果を述べる。

 


[第33回]

日時: 2023年10月5日(木) 16:00--17:30

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 横山俊一(東京都立大学)

 

講演題目: 高水準言語 Julia を用いた計算代数システム開発について

 

講演概要: Julia とは、米 MIT を中心として2018年に stable ver.1.0 が リリースされた新しいプログラミング言語である。Python のように 初心者にも書きやすい言語でありながら、C言語を凌駕する パフォーマンスを発揮することがあり、近年では LLVM 等を 用いた大規模計算にも積極的に用いられている。 本講演では、Julia を用いた計算代数システム開発の例として 数論系に特化したシステム開発プロジェクト NemoCas を 紹介する。またこの一環として、LMFDB 等に代表される数論・ 計算代数データベース開発プロジェクトとして新しく発足した OSCAR project の紹介を行う。とくに双方のプロジェクトに関連して 講演者がこれまで取り組んできた実装について解説する。

 


[第32回]

日時: 2023年9月11日(月) 17:00--18:30

 

場所,実施形態: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階) と Zoom でのハイブリッド形式で開催.

 

講演者: 吉野聖人 (広島工業大学)

 

講演題目: 共通角度arccos(1/3)またはarccos(1/5)の等角直線族について

 

講演概要: 等角直線族とはユークリッド空間内で原点を通り、どの2本の直線も同じ角度で交わる直線族である。本講演では共通角度がarccos(1/3)やarccos(1/5)の場合に、ある次元における極大な等角直線族に関する結果を紹介する。また一般に、switching rootというベクトル用いるテクニックによって等角直線族から格子を構成できることを紹介し、その応用として角度arccos(1/3)の等角直線族がルート格子によって詳しく調べられることを紹介する。本研究の一部はMeng-Yue Cao氏, Jack Koolen氏, 宗政昭弘氏との共同研究である。

 


[第31回]

日時: 2023年8月9日(水) 14:00--15:30

 

実施形態: オンライン開催 (Zoom).

 

講演者: 三枝崎剛 (早稲田大学)

 

講演題目: 符号の Jacobi 多項式と調和重さ多項式、そのグラフとマトロイドへの一般化

 

講演概要: 符号の不変量である重さ多項式、その MacWilliams 恒等式を一般化しようとする試みは数多く行われてきた。講演の前半ではそのような研究の中から小関道夫氏による Jacobi 多項式と、Christine Bachoc 氏による調和重さ多項式を取り上げ、それらの組合せデザイン理論への応用を紹介する。後半では符号やグラフを一般化したマトロイドを導入し、それぞれの多項式不変量(重さ多項式、彩色多項式、Tutte 多項式)の関係を記述する Tutte--Grothendieck の定理を解説しよう。そして講演者の定義した「Jacobi 彩色多項式、Jacobi--Tutte 多項式、調和彩色多項式、調和 Tutte 多項式」を用いた Tutte--Grothendieck の定理の一般化に関する最近の進展について議論したい。前半の内容は粟田円佳氏、宗政昭弘氏、中空大幸氏との共同研究、後半は Thomas Britz 氏、Himadri Chakraborty 氏、石川麗菜氏、大浦学氏、Chong Zheng 氏との共同研究である。

 


過去のセミナー

第1回〜第30回

 


世話人

篠原 雅史 (滋賀大学)
中島 規博 (名古屋工業大学)
野崎 寛 (愛知教育大学)
平尾 将剛 (愛知県立大学)
盧 暁南 (岐阜大学)

 

澤 正憲 (神戸大学)
神保 雅一 (統計数理研究所)
須田 庄 (防衛大学校)
田坂 浩二(近畿大学)

 

 

連絡先

hirao(AT)ist.aichi-pu.ac.jp (平尾)

 


最終更新日:2024年4月26日