過去のセミナー (第1回~第10回)
場所: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階)
講演者: 渡邊 悠太 (宇部工業高等専門学校 一般科)
講演題目: 有限射影幾何の組合せ構造の代数的性質について
講演概要: 有限体上の有限次元ベクトル空間に対して、その部分空間の成す半順序集合(有限射影幾何)を考える。有限射影幾何の大域的な結合関係から定まる結合代数は、量子代数 U_q(sl_2) の準同型像として実現されることが知られている。 本講演では、この関係を量子アファイン代数 U_q(sl_2^) のレベルへ拡張できることを紹介する。 さらに、R.A.Bailey(2006)によって導入されたアソシエーションスキームの一般化リース積との関連についても述べる。
場所: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階)
講演者: Qing Xiang (University of Delaware)
講演題目: Characterization of Intersecting Families of Maximum Size in PSL(2,q)
講演概要: The Erdos-Ko-Rado (EKR) theorem is a classical result in extremal set theory. It states that when k < n/2, any family of k-subsets of an n-set X, with the property that any two subsets in the family have nonempty intersection, has size at most \binom{n−1}{k-1}; equality holds if and only if the family k−1 consists of all k-subsets of X containing a fixed point. Here we consider EKR type problems for permutation groups. In particular, we focus on the action of the 2-dimensional projective special linear group PSL(2,q) on the projective line PG(1,q) over the finite field \mathbb{F}_q, where q is an odd prime power. A subset S of PSL(2,q) is said to be an intersecting family if for any g_1, g_2 ∈ S, there exists an element x ∈ PG(1,q) such that x^{g_1} = x^{g_2}. It is known that the maximum size of an intersecting family in PSL(2, q) is q(q − 1)/2. We prove that all intersecting families of maximum size are cosets of point stabilizers for all odd prime powers q > 3.
場所: 名古屋大学 情報科学研究科棟 3階 322室
講演者: 松原 和樹 (中央学院大学商学部)
講演題目: BIBデザインの組加法性と関連する組合せ構造
講演概要: BIBデザインは点集合とその部分集合(ブロック)族で定義され、任意の2点の会合数がブロック内で一定となる組合せ構造である。また、行列(生起行列)を用いて表すことができる。本講演では、2つのBIBデザインに対して組加法性を定義し、互いに組加法性を持つBIBデザインの集合とそれらに関連する組合せ構造について、存在性と構成法およびその応用を議論する。特に、組加法性は各ブロックにおける内的会合数に加え、ブロック間での外的会合数が一定となる性質を持つ。これらの性質を生起行列で表し、デザインの存在性と構成法に関する結果を述べる。さらに、外的会合数のみに注目した組合せデザインについての結果も紹介する。
場所: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階)
講演者: 栗原 大武 (北九州工業高等専門学校)
講演題目: 複素グラスマン多様体とジョンソングラフの調和解析
講演概要: 複素グラスマン多様体はコンパクト型の対称空間であり、大対蹠集合と呼ばれる対称空間の観点からみて性質の良い有限部分集合をもつ。この大対蹠集合に自然な隣接関係を入れグラフ構造を定めるとジョンソングラフが得られる。本講演では、複素グラスマン多様体上の関数空間とジョンソングラフ上の関数空間の関係を調和解析の立場から考察を行う。大まかには以下のような流れである:複素グラスマン多様体上の関数空間はユニタリ群の表現、ジョンソングラフ上の関数空間は対称群の表現と捉えられ、複素グラスマン多様体上の関数空間を大対蹠集合上に制限すればユニタリ群の表現と対称群の表現の間に対応がつく。またその対応から大対蹠集合が複素グラスマン多様体上の"良い"デザインであることも見ることができる。本研究は広島大学の奥田隆幸氏との共同研究である。
場所: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階)
講演者: 佐藤 巌 (小山工業高等専門学校 一般科)
講演題目: グラフのゼータ関数の行列式表示とその応用
講演概要: グラフのゼータ関数の行列式表示と、その量子グラフ、量子ウォークへの応用について述べる。 先ず、グラフのIharaゼータ関数について概説し、その行列式表示を与え、Iharaゼータ関数の 変形であるweightedゼータ関数、Bartholdiゼータ関数の行列式表示について述べる。 次に、第2種weightedゼータ関数の行列式表示を取り扱い、量子グラフの散乱行列に関する Smilanskyの定理の別証明を与え、離散時間量子ウォークの一つであるGrover walkの時間 発展行列の特性多項式を導く。後者に関連して、強正則グラフの同型予想に関する話題に触れる。
場所: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階)
講演者: 篠原 雅史 (滋賀大学 教育学部)
講演題目: 完全グラフの辺着色に関係する点配置問題について
講演概要: ユークリッド空間上の有限部分集合 X を自然に完全グラフの辺着色に対応付けることができる.つまり,完全グラフの頂点集合を X と同一視し,二点間の距離が等しいとき,またその時に限り同じ色で結ぶような辺着色を考える.本講演では,この対応付けが上手くはたらく点配置問題について,講演者の最近の結果を交えて紹介する.そのうちの幾つかは,純粋に完全グラフの辺着色に関する極値組合せ論の問題として取り出すことができる.一方,辺着色から点配置を復元することについて,2-辺着色された完全グラフ(つまりグラフ)の場合に知られているが,一般の場合に対しては容易ではない.本講演では,(上記問題に関係する)具体的なk-辺着色完全グラフの埋め込みについても紹介する.
場所: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階)
講演者: 佐竹 翔平 (名古屋大学 大学院情報科学研究科)
講演題目: アーベル群上のグラフのRamanujancyに関する考察
講演概要: 正則グラフの固有値の中で絶対値が2番目に大きな固有値を第二固有値とよぶ. 第二固有値からは直径などのグラフの情報が得られるため,これまで多くの研究がなされてきた. 応用上の観点からはその絶対値はできるだけ小さいほうが望ましいことが知られているが, Alon-Boppana によってその漸近的な下界が示されている. こうした経緯からRamanujanグラフと呼ばれる正則グラフが Lubotzky-Phillips-Sarnak によって定義された. Ramanujanグラフに関してはこれまで多くの構成法が研究されてきた. 特に群上のCayleyグラフや和グラフについては,その固有値が指標和で表されることから,解析数論等においても研究されている. 本講演では,まず,アーベル群上のPaleyグラフの類似となるCayleyグラフを与え,それがRamanujanであることを示す. 次に N. Alon らによって定義されたノルムグラフと呼ばれる和グラフの類似を与え,Ramanujanグラフとなるための条件について述べる.
場所: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階)
講演者: 奥田 隆幸 (広島大学 大学院理学研究科)
講演題目: 商についての Delsarte 理論
コンパクト対称空間やアソシエーションスキームの有限部分集合について, それらの符号(幾何学的)としての性質と測度近似(解析学的)としての性質の間に球フーリエ変換(第一, 第二固有行列)で説明される関係がある. これを Delsarte 理論という. 本講演では"部分集合"の替りに"商"を考えた場合, Delsarte 理論がどのように定式化されるかということについての考察を行う. 特に伊原の公式としてしられる正則有限グラフの固有値の重複度についての情報と閉サイクルの長さについての情報の間の対応が Delsarte 理論の枠組みで説明されることを示す. 本研究は愛知教育大の野崎寛氏, 東北大学の見村万佐人氏との共同研究である.
場所: 愛知県立大学サテライトキャンパス (愛知県産業労働センター15階)
講演者: 谷口 哲至 (広島工業大学 工学部)
講演題目: 辺符号グラフとホフマングラフ --- グラフの最小固有値について ---
講演概要: 最小固有値が -2 よりも大きなグラフについての分類が1970年ごろに成されている。一方で、 我々は最小固有値が -3 以上のホフマングラフを分類することを目標に研究してきた。 その過程でホフマングラフのスペシャルグラフを詳しく知る必要があり、「最小固有値が -2 以上の辺符号グラフの分類」 についても研究を行うこととなった。双方には深い関係があり、グラフの最小固有値による階層を下るには、 両領域での研究の進展が不可欠である。 本講演ではホフマングラフについて基礎から、そしてこれまでの研究成果と現在考えている問題について話をしたい。
場所: 名古屋大学 情報科学研究科棟 1階 第2講義室
講演者: 田坂 浩二 (愛知県立大学 情報科学部)
講演題目: 多重ゼータ値の線形関係式
講演概要: 多重ゼータ値とは、リーマンゼータ関数のある種の多変数化である多重ゼータ関数の正の整数点での値として定義される実数値である。 多重ゼータ値は、ある種のガロア理論との関連から、整数論の研究において非常に重要な対象であり、ZagierやDeligneが取り上げて以来20年弱で急速に発展してきた分野である。 講演では、ガロア理論的な見方よりもさらに詳しくかつ素朴な問題意識である"多重ゼータ値の線形関係式"の研究について議論する。 具体的には、可換環論との結びつきが強い"複シャッフル関係式"について述べ、関連する予想を紹介する。 時間が許せば、この関係式のモジュラー形式の問題への応用など、講演者の最近の結果について触れたい。