情報科学実験II　コンパイラ作成

第4回

4.4.4節までの結果を確認する方法

printast.tgzに、構文木をテキスト、グラフ、またはCプログラムとして出力するプログラムを載せる。これを用いて4.4.4節までの結果を確認する手順を示す。

課題4.3で作成したpicoc1.yのlineの部分を次のように書き換えてpicoc2.yとして保存する。
```
line
	: st_list { extern StmtNodePtr st; st = $1; }
	;
```
このようにしてできたファイルを
```
bison -t -d picoc2.y
```
で処理する。
```
picoc.y: 警告: 1 shift/reduce conflict [-Wconflicts-sr]
```
というエラーが出てもよい。ただし、shift/reduceの前の数が2以上だったら修正が必要である。

リスト4.4に倣って以下のプログラムを作成し、ast.c, printast.cならびにbisonが出力したpicoc2.tab.cファイルとともにコンパイルする。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <string.h>
#include "ast.h"
#include "gen.h"
#include "printast.h"
#if YYDEBUG
extern int yydebug;
#endif
/* bison -d -tが出力したヘッダーファイルをインクルードする */
#include "picoc2.tab.h"
FILE  *af;
StmtNodePtr st;

typedef struct Tokens {
	int sort;
	int ival;
	char *name;
} Ttokens;

#define T_T(t) { t, 0, NULL }
#define T_INT(k) { NUM, k, NULL }
#define T_ID(n) { ID, 0, n }
#define T_CH(c) { c, 0, NULL }

/* 
	if( k<2 ){ return 1; }
	return fib(k-2)+fib(k-1);
を表すトークンの配列 */

Ttokens thetokens[] = {
	T_T(IF), T_CH('('), T_ID("k"), T_T(BLT), T_INT(2), T_CH(')'), T_CH('{'),
	  T_T(RETURN), T_INT(1), T_CH(';'), T_CH('}'),
	T_T(RETURN), T_ID("fib"), T_CH('('), T_ID("k"), T_T(SUB), T_INT(2), T_CH(')'),
	  T_T(ADD), T_ID("fib"), T_CH('('), T_ID("k"), T_T(SUB), T_INT(1), T_CH(')'),
	  T_CH(';'), T_CH(0) };

int yylex() {
	static int i=0;

	Ttokens *p = thetokens + i;
	i++;
	
	if(p->sort ==NUM)
		yylval.ival = p->ival;
	else if(p->sort==ID)
		yylval.name = p->name;
	return p->sort;
}
/* もし、bisonへの入力ファイル、例えばpicoc.yでyyerror()の中身を定義していれば、
multiple definition of `yyerror'などのコンパイルエラーが出る。その場合は
ここでの定義は不要なので、mainの前までを削除する */
int yyerror( char *msg ){
	fprintf( stderr, msg );
	exit( 1 );
}

int main( int argc, char **argv ){
#if YYDEBUG
int i;
	for( i=1; i<argc; i++ ){
		if( strcmp( argv[i], "-d" )==0 ) yydebug = 1;
	}
#endif
	/* 以下にthetokensに記述した関数と変数の定義を記述 */
	symAdd( SYM_FUNC, "fib", 1, 1, 0, NULL );
	symAdd( SYM_VAR, "k", 0, 0, 0, NULL );

	/* 構文解析を実行 */
	if( yyparse() ) return EXIT_FAILURE;
	/* 結果を出力 */
	printASTStmt( argc, argv, st );
	return EXIT_SUCCESS;
}

その結果できたファイル(この例ではkadai43bと仮定する)を実行するときに、
- -tオプションをつけて「./kadai43b -t」のように実行すると構文木をテキストで出力する。
```
Stmt: if
  Op: <
    Op: var
      Sym global0 k
    Op: const 2
  Stmt: return
    Op: const 1
Stmt: return
  Op: +
    Op: func
      Sym func1 fib
      Op: arglist
        Op: -
          Op: var
            Sym global0 k
          Op: const 2
    Op: func
      Sym func1 fib
      Op: arglist
        Op: -
          Op: var
            Sym global0 k
          Op: const 1
```
- -sオプションをつけて「./kadai43b -s」のように実行すると記号表をテキストで出力する。
```
記号表
大域変数 no.0 k
関数 no.1 fib (仮引数 1 個, 局所変数 0 個)
```
- 演習室のLinux環境では、-gオプションをつけて次のように実行すると構文木をグラフとして出力する。
```
./kadai43b -g | dot -Tx11
```
  その他の環境でJavaが実行できるのであれば、gv.jarをダウンロードして
```
./kadai43b -g | java -jar gv.jar
```
  のようにグラフを表示されることができる。
  Javaもない場合は、
```
./kadai43b -g > kadai43b.dot
```
  のように実行して、ファイルkadai43b.dotに出力する。この内容をグラフ表示ページに入力すると、グラフが表示される。
- -pオプションをつけて「./kadai43b -p」のように実行すると構文木に対応するCプログラムが表示される。
```
if(k<2){
    return 1;
}
return fib(k-2)+fib(k-1);
```

リスト4.4の構文解析を他のプログラムに対しても実行するには

以下のボックスにリスト3.8のようなCのプログラムを入力してOkボタンをクリックすると、Ttokens thetokens配列の内容が出力されます。

Ttokens出力

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