情報科学実験II　コンパイラ作成

第4回

課題4.3の結果を確認する方法

printast.tgzに、構文木をテキスト、グラフ、またはCプログラムとして出力するプログラムを載せる。これを用いて課題4.3の結果を確認する手順を示す。

bisonの入力ファイルpicoc1.yを作成する。ファイル名は適宜つけること。リスト4.2の電卓プログラムの1～36行目までからなる部分をもとにして、4.4.1節と4.4.3節の記述に従って修正する。ast.hをインクルードするように記載すること。また、
```
#define YYSTYPE double
```
を削除する。さらに、ルール部の先頭にある非終端記号lineについてのルールを次のように変更する。
```
line
    : expr { extern ExprNodePtr ex; ex=$1; }
    ;
```
このようにしてできたファイルを
```
bison -t -d picoc1.y
```
で処理する。bisonが警告を出した場合の対応

リスト4.4に倣って以下のプログラムを作成し、ast.c, printast.cならびにbisonが出力したpicoc1.tab.cファイルとともにコンパイルする。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <string.h>
#include "ast.h"
#include "gen.h"
#include "printast.h"
#if YYDEBUG
extern int yydebug;
#endif
/* bison -d -t が出力したヘッダーファイルをインクルードする */
#include "picoc1.tab.h"
FILE  *af;
ExprNodePtr ex;

typedef struct Tokens {
	int sort;
	int ival;
	char *name;
} Ttokens;

#define T_T(t) { t, 0, NULL }
#define T_INT(k) { NUM, k, NULL }
#define T_ID(n) { ID, 0, n }
#define T_CH(c) { c, 0, NULL }

/* fib(k-2)+fib(k-1)*in()+binom(k,2) を表すトークンの配列 */
Ttokens thetokens[]={
	T_ID("fib"),T_CH('('),T_ID("k"),T_T(SUB),T_INT(2),T_CH(')'),
	T_T(ADD),T_ID("fib"),T_CH('('),T_ID("k"),T_T(SUB),T_INT(1),T_CH(')'),
	T_T(MUL),T_ID("in"),T_CH('('),T_CH(')'),
	T_T(ADD),T_ID("binom"),T_CH('('),T_ID("k"),T_CH(','),T_INT(2),T_CH(')'),
	T_CH(0) };

int yylex() {
	static int i=0;

	Ttokens *p = thetokens + i;
	i++;
	
	if(p->sort ==NUM)
		yylval.ival = p->ival;
	else if(p->sort==ID)
		yylval.name = p->name;
	return p->sort;
}
/* もし、bisonへの入力ファイル、例えばpicoc.yでyyerror()の中身を定義していなければ、
undefined reference to yyerrorコンパイルエラーが出る。その場合は
ここでの定義は不要なので、mainの前までを削除する */
#if 0
int yyerror( char *msg ){
	fprintf( stderr, msg );
	exit( 1 );
}
#endif

int main( int argc, char **argv ){
#if YYDEBUG
int i;
	for( i=1; i<argc; i++ ){
		if( strcmp( argv[i], "-d" )==0 ) yydebug = 1;
	}
#endif
	/* 以下にthetokensに記述した関数と変数の定義を記述 */
	symAdd( SYM_FUNC, "in", 1, 0, 1, NULL );
	symAdd( SYM_FUNC, "fib", 2, 1, 0, NULL );
	symAdd( SYM_FUNC, "binom", 3, 2, 0, NULL );
	symAdd( SYM_VAR, "k", 0, 0, 0, NULL );

	/* 構文解析を実行 */
	if( yyparse() ) return EXIT_FAILURE;
	/* 結果を出力 */
	printASTExpr( argc, argv, ex );
	return EXIT_SUCCESS;
}

その結果できたファイル(ここではkadai43という名前を仮定する)を実行するときに、
- -tオプションをつけて「./kadai43 -t」のように実行すると構文木をテキストで出力する。
```
Op: +
  Op: +
    Op: func
      Sym func2 fib
      Op: arglist
        Op: -
          Op: var
            Sym global0 k
          Op: const 2
    Op: *
      Op: func
        Sym func2 fib
        Op: arglist
          Op: -
            Op: var
              Sym global0 k
            Op: const 1
      Op: func
        Sym func1 in
  Op: func
    Sym func3 binom
    Op: arglist
      Op: var
        Sym global0 k
      Op: arglist
        Op: const 2
```
- -sオプションをつけて「./kadai43 -s」のように実行すると記号表をテキストで出力する。
```
記号表
大域変数 no.0 k
関数 no.1 in (仮引数 0 個, 局所変数 1 個)
関数 no.2 fib (仮引数 1 個, 局所変数 0 個)
関数 no.3 binom (仮引数 2 個, 局所変数 0 個)
```
- 演習室のLinux環境では、-gオプションをつけて次のように実行すると構文木をグラフとして出力する。
```
./kadai43 -g | dot -Tx11
```
  その他の環境でJavaが実行できるのであれば、gv.jarをダウンロードして
```
./kadai43 -g | java -jar gv.jar
```
  のようにグラフを表示されることができる。
  Javaもない場合は、
```
./kadai43 -g > kadai43.dot
```
  のように実行して、ファイルkadai43.dotに出力する。この内容をグラフ表示ページに入力すると、グラフが表示される。
- -pオプションをつけて「./kadai43 -p」のように実行すると構文木に対応するＣプログラムが表示される。
```
fib(k-2)+fib(k-1)*in()+binom(k,2)
```

リスト4.4の構文解析を他のプログラムに対しても実行するには

以下のボックスにリスト3.8のようなCのプログラムを入力してOkボタンをクリックすると、Ttokens thetokens配列の内容が出力されます。

Ttokens出力

トップページ

情報科学実験II コンパイラ作成

第4回

課題4.3の結果を確認する方法

リスト4.4の構文解析を他のプログラムに対しても実行するには

情報科学実験II　コンパイラ作成